楽園追放 Expelled from Paradise [感想]
楽園追放を見ました。水島精二氏が監督を務め、虚淵玄氏が脚本を担当した、東映アニメーションとニトロプラス合作のフルCGアニメーション映画作品という如何にも期待させる触れ込みでしたが、正直なところ、いくらCGアニメーションで手書きっぽさを表現したところでどうなのだろうと思っていた。――思っていたが、 いやー凄かった。これがビックリ違和感がない。違和感がないというのもちょっと違うのかもしれませんし、もうこればかりはとにかく見てくれっていうしかないのだけれど、全ての絵が映画の世界に溶け込んでいると表現すれば良いのか、そこにキャラクターがしっかり存在していて浮いていない。CGなのだけれどCGだということを感じさせないほどに滑らかなのに、2Dの良さを残している。プリキュアのCG技術を見ていても気持ち悪いほどに細部まで作りこまれていて凄いなと思っていたわけですが、あれはエンディング5分とか必殺技とかであって短い。丸々と映画一本をCGで提供してくる東映アニメーションさんの本気がそこにはありました。
フルCGだから出来ること。
今まで手書きで見たことがない絵の表現方法があって新鮮であり素敵でした。ここまで出来るんだなと感慨深かった。お気に入りのカットは釘宮さん演じるアンジェラが偵察の為にビルの非常用梯子?を上る場面で、上からのアングルで映したところでしょうかね。素直にそんなカット見たことないと思いましたし、鳥肌立ちました。戦闘シーンはもちろん凄いし、度肝抜かれますが、フルCGだから言うたら全部が凄い。手書きの良さを残したままCGにしているからこそ違和感なく見れるし、日本アニメ、ジャパニメーションだなと思う。だからこそCGなのに昔ながらの技法というか、コミカルな場面で描かれる絵の崩しなんかも挑戦していて、そういう意味でもとても意欲作になっていますね。
物語もシリアスでありながら明るくて切なくて、純粋に小説で読めるなと思いました(映画から入りましたが、実際にハヤカワ文庫より出版されております。)。作品のテーマもまさに今とこれから(未来)に対しての問いかけとなっているように受け取れるし、感じ方だって見た人の状況によって変わってくるでしょう。だから、とても面白かったとだけ言いたいですね。演じられている声優さん(釘宮さんや三木さんは特に)演技も素晴らしくて、虚淵玄氏がインタビューで答えていましたが、誰が演じるのかを想定して役者の技量に合わせて当て書きした脚本になっているので、キャラクターが生きている。この人が演じたらそういう表現になるだろうことに無理がないのでキャラクターの台詞も動きも表情も自然なんです。だから映画の中に入り込める。
最後まで未開の地を冒険するワクワク感を失わなかったし、それはハリウッド映画にも負けない。映画をあまり見ない(アニメーションのが好きな)身としては、爽快感や開放感や高揚感といった快感はむしろ凌駕しているのではないかと思う。見ていない人と見ている人では、日本のアニメーションに対する認識まで違ってくるのかもしれないと素直に思えた。これからは日本のアニメもCGが一つのスタンダードになるだろうけれど、フルCGでここまでやれるのだなと驚愕するに違いない。是非とも見て欲しい作品です。
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