Infinity recollection

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雪の翼のフリージア (電撃文庫) [感想]

雪の翼のフリージア (電撃文庫)

 

雨の日のアイリスの著者さんということで購入。

 

前作と同じく一巻完結の物語をしっかり描かれている。落ち着いた文章は読みやすく、流れるように物語を追えると共に、その世界に引っ張り込む力がある。世界観にしても破綻することがないので、作りこまれている印象を受ける。

 

作品に溢れる温かさや、切なさ、優しさといったものは著者の持ち味だろうか。飛べなくなった飛翔士と義翼職人の関係性に胸が満たされます。理不尽に振り回されながらも、懸命に這い上がり飛ぼうとする姿に充足感を得られるのだ。

 

物語は飛翔レースに出場して優勝することを目指しているけれど、レースの部分はそこまで濃いものではなく、そこに至るまでや人間関係に焦点が当てられている作品。そういう意味では、熱いレースを期待している人には向かないでしょうし、関連して一巻完結なので、どうしても詰め込んでいる感はある。

 

この辺りはジレンマだろうか。あくまで必要不可欠な部分だけを限界まで考えて美味しく抜き出しているのは素晴らしいが、大きな余韻は残らない。それでも、唐突な展開やむちゃな構成が見受けられなかったことは流石と言うべきか。

 

安心して読める作品ですし、全体として綺麗にまとまっているのではないか。出来ることなら上下巻で読みたかったが、こればかりは編集部と売り上げも関わってくるだろうから……。何にしても、面白いので新作を読みたいがどれを買うか迷っている人には、自信をもって購入をオススメする。

 

 Presented by Minai.

雪の翼のフリージア (電撃文庫)

雪の翼のフリージア (電撃文庫)