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Infinity recollection

ライトノベルを中心に感想を載せているサイト。リンク+アンリンクフリー。

俺の教室にハルヒはいない (4) (角川スニーカー文庫) [感想]

俺の教室にハルヒはいない (4) (角川スニーカー文庫)

 

胃がキリキリと痛むような冷や汗かかされる恋愛模様には、胸を締め付けるどころか首を絞めてきて酸欠にされられたような錯覚を起こさせるこの物語。4巻にて完結なのですね。凄く残念ですし悲しいです。最近では珍しく、刊行されるのを心待ちにしていた作品の一つでしたのでまさか最終巻とは。7巻8巻辺りで完結だと思っていただけに、もっと話を読んでいたかったというのが正直なところ。売り上げ的な意味で打ち切りってことなんですかね。。。(本作ですらとなると、今後のライトノベルに憂い悲観してしまいますね)

 

ユウのやる気の無さも含めてどこか達観している部分や人に対して期待していないところなど、高校生離れして大人びているその様子にはどこかで理由が開示されるのだろうとは思っていました。それはシリーズ終盤になるのだろうなと。今回それを見透かしたように綺麗にユウという高校生の理由を入れ込んできてくれていて嬉しい反面、本当に終わるのだなと感慨深い気持ちになってしまいました。本作は同じくスニーカー文庫刊行の「サクラダリセット」と同種の雰囲気をまとった作品だなと1巻刊行時から感じていましたから、丁寧に丁寧に展開したら本当に面白い作品になるに違いないと。それこそ、作品の本質を描ききったときに真価を発揮する作品なのだと周りに言った記憶があります。それでも、4巻で完結ということで全てを詰め込んでいるのに破綻させずに物語を描ききった作者はやはり素晴らしいですし、上手かったですね。

 

俺の教室にハルヒはいない」1巻の感想で、ユウは普通の人間ではあるが普通ではないと書いた。彼には人の為に行動できるということだったり、相手を否定せずに肯定できる強さがあるのだと。けれど、ユウが拒否し続けてきた学園モノ作品には、それを遥かに凌駕するような、人が頑張れる範囲を大きく逸脱した力を持った登場人物たちが現れるわけで。否応なしに自分はユウ自身は普通なのだと気づかされる。ユウの人格形成に至った家族などを踏まえながら、ユウの歪で危うい価値観に触れ、始めからあった設定たちを綺麗に収束させていく手腕は美しいの一言でした。「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上。」俺の教室にハルヒはいない。そう涼宮ハルヒはいないのだ。いるのはただの人間だけなのだ。ハルヒは特別な力を持っているかもしれないが、ハルヒからすれば自分も含めてただの人間。だから、いつも退屈で憂鬱なのだ。けれども、誰かからすれば特別な人間かもしれない。それこそ朝比奈さんや長門な古泉にとってハルヒが特別なようにキョンにとってもハルヒは特別だろう。だったらユウだって誰かにとっては特別かもしれない。普通の人間かもしれないけれど、特別な人で大切な人、なのですよね。そんな一連の流れから「涼宮ハルヒの憂鬱」を初めて読んだ2004年を思い出させてくれた。

 

恋愛方面については賛否両論でしょうけれど、自分はこれでいいのではないかなと思います。誰かを選ぶとしたら個人的にはマナミさんを推しますが、カスガのいつまでも変わらない距離感には和まされましたし、神楽坂先輩も芯が強いなと。幸せになって欲しいから、誰もいないなら私でもいいかなって思うカスガの思考や、アスカさんがマナミさんであることを否定しちゃうだとか、キャラクター面では著者の持ち味で通しきっていて満足でした。

 

俺の教室にハルヒはいない (4) (角川スニーカー文庫)

俺の教室にハルヒはいない (4) (角川スニーカー文庫)