世界平和は一家団欒のあとに〈3〉父、帰る (電撃文庫) [感想]
父さん登場。
その存在がいることは分かっていたが、本編には登場していなかった星弓家の父。その父親が出張から帰ってくるとのことで、母は大喜び、と同時に軋人と美智乃の前に、昔の両親を知る謎の女が現れる。
何でも転移魔法の暴走で異世界からやってきたらしいが、実は≪ネタバレネタバレ≫で……。父親の最強ぶりが映えるお話。
主人公であるところの軋人は、弟だったり兄だったり友達だったり、色々な肩書きがあるわけだけれど、その中に息子という肩書きもあって。
父と息子の対比を面白く描いていて良かった。
生真面目に読ませるというよりは、楽しく読ませる。深いことが書いてあるわけではないし、あくまで軽く、けれど良いなと思える。
軋人はどこか父親を馬鹿にしているところがあって。それは普段、姉や妹弟の凄さを目の当たりにしており、また自分も力を持っているからで、普段は家族にやられている父親を見ているからだ。
昔は勇者でも今は違うだろう、自分も姉には勝てないのだから父親も勝てないと、漠然と思っていたりする。むしろ、自分の方が父親よりも強いのではないか、と考える。
誰しもそうだとは思うのだけれど、どこかで親って凄いんだと思う瞬間というのはあるので、それを作中で軋人は思い知ることになる。
そこまで持っていく流れは、不自然すぎるくらいに当たり前だけれど、父親の凄さみたいなものが描写されたときには、流れが素直なだけに破壊力があった。
父強し――、弱さも見せているから余計に強さが引き立つ。馬鹿親父と馬鹿息子の意地と意地のぶつかり合いは、読んでいて熱かった。
また、遊園地での柚島さんは可愛らしかったです。軋人が絶叫系が苦手というのも意外でしたが、その後のお化け屋敷は柚島さんが苦手ということで、お約束ですが怖がる柚島さん、可愛らしい。
面白かった。好きなシリーズです。
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- 作者: 橋本和也,さめだ小判
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