羽月莉音の帝国 6 (ガガガ文庫) [感想]
中国で展開中の衣料チェーン事業が、反日暴動で頓挫しかけ、それを解決するべく海胴はCIAに巳継たちを連れて行こうとする。また、この難局を政治面で解決しようとするのだが、巳継たちは銃撃戦に巻き込まれ暗殺されかける。
政治面で中国が見えてきたのは面白かったし、日本と中国のトップを描いていたのも興味深い。これが全てとは思わないけれど、世論のあり方で政治の進め方が変化する部分や、両国での捉え方が見えたのは良い。
しかし、海胴が死ぬとは思わなかったというか、何だかんだで生き残りそうではあったのに、案外とあっさり死んでしまったのは残念。それでも今後の展開を想像したときに、これは避けられなかったのかも。
中盤からは怒涛の金融機関買収。
恒太率いる国際商業銀行が世界の金融機関を買収し、メガバンクに成長していく。当然、買収できる銀行は少なからず負債を抱えていたりするのだが、スケールを大きくすることを優先に買収。
現金を持っている銀行をピックアップして仕掛けていくわけだけれど、この辺りは敵対したり戦いがあるわけではないので淡々としている。これからの下地作りという意味合いが強いし、世界の有り方を改めて冷静に見つめなおしている場面でもあった。
また、著者の作品の醍醐味になりつつある彼との語りだが、ここで入れ込んできた。これには読み手も含めて意識をシフトさせられたし、世界が大きくも小さいことを認識させられた。
面白かった。保険会社買収と上場がどのように転ぶのかは楽しみだ。
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- 作者: 至道流星,二ノ膳
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/02/18
- メディア: 文庫
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