特異領域の特異点 真理へ迫る七秒間 (電撃文庫) [感想]
未来を科学する。
特異領域理論により絶対だと思われていた物理法則は瓦解した。無から有が生み出せるようになり、政治経済の枠組は一変。世界のパワーバランスが崩壊したことで、日本が超大国になり平和が訪れた。
そんな世界を舞台に自称天才、無期停学中の賢悟が、天才科学者である天川からメッセージを受け取ったことで物語は動き出す。天川は特異領域理論を提唱した五人の天才科学者の一人であり、長らく消息を絶っていた人物でもある。賢悟は好奇心から飛びつくが、これが世界を揺るがす大事件に繋がる。
SFでした。とにかくSFが好きなら読む価値はあるでしょう。逆に小難しい単語やら、説明が苦手という人にはオススメしない。
近未来の世界らしく移動手段から異次元ですし、ナノスマートフォンなる未来ガジェットが登場して、個性的なキャラクターたちが動き回る物語は先が読めない。今やっていることは分かるのだけれど、着地点が分からないので先が気になる。これが行き過ぎると読めなすぎて退屈してしまうのだけれど、バランスが良い。
中国人の部屋、シュレーディンガーの猫、量子力学などよく引用されるワクワク単語が登場するので、その辺りにも注目。
中盤辺りから賢悟が抱えている思いだったり、ヒロインの想いだったり運命だったりと、SFで近未来なのに人間臭さを描いているのは好印象。特に賢悟は変人にしか見えないところか印象が変わっていく。頭が良い彼らだって一人の学生だ。
脇役の配置に疑問を感じたりはしたけれども、後々判明する大事件を解決しようと頑張る姿は格好良かった。ハヤカワ文庫で出版されていても、大きな違和感は感じさせない内容は良く出来ていました。面白かった。
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- 作者: 範乃秋晴,saitom
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/08/10
- メディア: 文庫
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