ライジン×ライジン RISING×RYDEEN (富士見ファンタジア文庫) [感想]
第23回ファンタジア大賞 大賞受賞作品
あばばばば。
ストレンジャーと呼ばれる異能力者がいる世界。主人公の隆良は、そんなストレンジャーに憧れているちょっと痛い男の子であり、いつか自分も異能力に目覚めるのだと頑なに信じていた。物語では、ついに隆良が異能に目覚めるわけだが、その異能というのが見事に残念……というか、気持ち悪い。
身体から白いゲルを噴出させるだけの異能とは、これ如何に。
タイトルと表紙から、王道な異能力現代ファンタジーかと思っていたら、そんなことは全然なく勘違いだった。ラブコメという表現が一番しっくりくる作品だ。
物語はまず、常にハイテンションに攻め立てる隆良に気圧されることは間違いない。この辺りは好みだろうが、バカで痛い言動を許容できないなら、もうその時点でオススメできない。出合ったヒロインに白いゲルをぶっかけるアレな展開と、ネットスラング、事ある毎に自分の残念異能に絶望する隆良と、ノリがとにかく強烈。
ヒロインたちも、魅神を除いて軒並み残念異能持ちなので、もう可哀想でいて可愛いという良く分からない感情に襲われる。炎に関する能力だが火力はライター並だとか、昆虫を操る能力だが一匹だけとか、微妙……。魅神だけは最強でしたが。
けれども、キャラクターの作り方は上手い。強烈でいて個性的であるけれども、王道も忘れていないので誰もが埋もれないし、変に安定している。
特に沙凪は面白い。彼女の台詞回しが特殊というか、お嬢様口調が浮かずに個性としてキャラクターになっているように映った。また、ゲルに対しても周囲の反応と違って抵抗感なく触れていくので、肩透かしを食らう形になり逆に興味を惹く。
面白かったが、今後の展開は全く読めない。一巻で隆良の能力には限界があるようにも映りますし、バカなことをどうやって書いて纏めるのか。……これは正直、続きは相当難しいのではないかしら。
Presented by Minai.
ライジン×ライジン 文庫 1-5巻セット (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 初美陽一
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2013/04/20
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログを見る