Infinity recollection

ライトノベルを中心に感想を載せているサイト。リンク+アンリンクフリー。

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 (富士見ファンタジア文庫) [感想]

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。 (富士見ファンタジア文庫)

 

第23回ファンタジア大賞 金賞受賞作品

 

RPGではお馴染みの職業システム。戦士や魔法使い、鍛冶屋に踊り子など、様々あるわけだけれど、その中にはもちろん勇者というのもあるわけで。主人公ラウルは勇者を目指していたが、魔王の脅威が弱くなったということから、勇者制度が廃止になり、職業勇者は成り立たなくなってしまう。

 

仕方なく就職。

 

今まで魔王がいたから成り立っていた産業は軒並み倒産の憂き目にあい、世界は混沌とした不況と超就職氷河期に突入。まるで現代を投影するかのように、異世界なのに現実を直視せざるを得ない作品でした。

 

フェノとラウルのラブコメが読んでいて楽しい。

 

魔族の常識が備わっているフェノは、人間側から見ると非常識極まりないので、その極まった言動に対してラウルがツッコミをいれていくテンポが好きだ。履歴書からして面白かったが、レジを我が城であるが如く振舞うフェノには笑ってしまった。

 

言動は奇抜だけれど、本来フェノは真面目な良い子なので、彼女が頑張る姿にラウルも普段の自分を見直し、目を覚ましていく。自然と二人と距離が縮まっていくのは読んでいて微笑ましかった。何事にもぶつかっていくフェノが可愛らしいですし、どんなことにも新鮮な反応くれるのはラウルでなくとも嬉しいはず。

 

また、魔力の設定も面白い。単位は違うけれど、要するに魔力は現代でいうところの電力のようなものなので、つまるところマジックアイテムとは電化製品。ただ、魔力供給元はもちろん人間だったりするわけだけれども。

 

面白かった。終盤でのバトル展開には驚いたが、勇者と魔王で語ったことは王道ですし、綺麗にまとまっていました。ギャグもしっかり笑わせてくれて好印象。

 

 Presented by Minai.