Infinity recollection

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クロス×レガリア 死神の花嫁 (角川スニーカー文庫) [感想]

クロス×レガリア    死神の花嫁 (角川スニーカー文庫)

 

やっぱり面白い。

 

本格的に馳郎の敵としてジンが動き始めるので、物語の加速度が半端じゃない。白翁を受け継いだ馳郎と、受け継げなかったジンとの対比は良く出来ている。王の資格と資質とはどういうことなのだろう。

 

物語では、千円ボディーガードとしての矛盾をジンの言動から突きつけられるので、理想と現実の乖離をどうやって埋めるのか、理解できていた破綻を言葉にせずとも噛み締める馳郎が全体的にあったのかなと。馳郎は間違ってはいないけれど正解でもなくて、完璧と絶対は誰にも断言できないのだけれど、そんな中でも己の信念を貫こうとする姿は主人公でした。

 

今後はこの二人の対立で進んでいくのでしょうが、ジンにしてもダークヒーロー的なところがあるので、敵なのだけれど憎めないキャラクターに仕上がっているのは上手いです。

 

登場人物にしては全体的にそうなのだけれど、誰が出てきても面白い。キャラクターで魅せているところは流石ですし、リコが馳郎を心配するところだとか、ナタが帽子を深く被る描写だとか、終盤での蓮花の一言だとか、配置するところがとにかく絶妙。

 

特に大好きな展開は、カエアンがアップグレードを要求する場面でしょうか。馳郎と一緒になって、これから命尽きるまで戦う覚悟を決めたのは熱い熱い。これだけではないけれど、バトル演出に関してギミックを入れ込んできてくれるのが嬉しい。

 

全体を通して、物語に緩急をつけつつも展開を殺していないのが単純に凄い。加えて、今後の展望にも期待させながら引き具合も見事となると、シリーズの一冊としては完璧としかいいようがない。素晴らしい。

 

 Presented by Minai.