煉獄姫 六幕 (電撃文庫) [感想]
最終巻。
ユヴィオールに全てを奪われた。アルトは幽閉されてしまいましたし、フォグとキリエは力を失ってしまっている。ここからどうやって逆転するのかというところで、それを見せてくれるのだから面白くないわけがない。
序盤から展開が盛り上がりに盛り上がっているので読んでいて高揚感が心地良い。どう頑張っても現状ではユヴィオールには勝てないのだけれど、分かっていてもフォグは立ち向かうことを決意する。アルトを奪われたのだからここまでは分かる。
ここに、キリエやらカルブルックまで同じ想いで手助けしてくれるというのが嬉しい。リベンジとは聞こえが良いけれど、全員が力を奪われた中での反撃なので、その意味合いには個々人が抱える強い想いがあるわけで。いいですね。
バトルも相変わらず疾走感がありますし、やはり煉術を駆使しての駆け引きが読みどころです。可愛いキャラクターも凛々しく描かれて格好良い。
――そして、ローレンの登場。
まさかのローレンさんでした。これまで考えていた人物像とは違って、とても温かい。だって人間らしいほどに人間だったのだ。確かに常識人ではない、所謂一人の天才だと思うのだけれど、ローレンが何のためにホムンクルスを作ったのか、彼が遺したものがフォグたちに与えてくれたのは純粋な家族愛であり、利己的な考え方をする人間ではなかったというのが嬉しい。
アイリスの過去話も魅力的で、これまで物語の世界に存在していたものを回収して回収して圧縮したような構成になっているので、何とも読み応えがあるし読み終わったのときに満足感も得られる。フォグとアルトが掴み取ったものを是非見てもらいたいですね。
また次回作にも期待しております。
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- 作者: 藤原祐,kaya8
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