女子モテな妹と受難な俺 (ガガガ文庫) [感想]
シチュエーションと設定が面白かった。
妹の今日子は兄である明日太が大好きで、何かと世話を焼いたり甘えてきたりする。そんな妹は女子からモテモテなのだが、ある日を境に兄である明日太までモテモテに――。
実はこれには裏があり、妹を狙う百合な女子たちが、今日子の兄へ対する好意を止めさせて、自分たちに振り向いてもらおうとする策略なのだ。つまり、主人公は全然モテていないのだ。
妹を百合な女子たちから守るために、頑張っちゃう兄貴という図、シチュエーションが面白いなと思えた。
しかも、この兄貴が凄く良い奴。正直なところ、妹を巡ってかなりの嫌がらせなどを受けたりもするのだけれど、最終的に許してしまうというか。凛世への対応が素晴しく大人。
凛世が可愛らしい。
ネタバレになってしまうけれど、終盤で凛世は敵視していた明日太に好意を持ち始める。この辺りの言動はそれまでを忘れてしまうほど可愛らしい。逆に、最後は凛世に全てを持っていかれてしまうので、妹と兄の関係を読みたかった人には残念かもしれない。
また、これに関連して作品中では、妹の今日子、凛世、小麦、それぞれが明日太のことを、兄っち、兄貴さん、お兄様、と勝手に別々の呼び名で呼んでいるのだが。
最終的に主人公に好意を持った女の子が、”その呼び方でいいですか”と確認してきて、”妹にして欲しいと頼む”というシチューションは新鮮だった。呼び名が違う妹がこれから出来るというのは珍しいし、面白い。
そういう意味でシチュエーションと設定に魅力を感じました。登場人物が個性的なのである種のとっつき難さはあるのだけれど、女の子が可愛らしいですし、主人公にも好感が持てるので好きだ。
序章という側面があるし核心には触れていないけれど、お陰でシリアスが抑えられていて読みやすい。読みたいところへ広げやすさもあるので、今後への期待も高い。面白かった。
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- 作者: 夏緑,ぎん
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2010/11/18
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