やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (ガガガ文庫) [感想]
友達がいない残念なひねくれ高校生、八幡。ある日、生活指導の先生に連れられてやってきたのは、学校一の美少女である雪乃が所属する「奉仕部」だった。この「奉仕部」を舞台に、八幡と雪乃の恋愛模様が、あれ? 描かれない。
コミュニケーション能力が残念でも良いじゃない。
八幡のぼっちスキルに涙が出そうになってしまいます。今まで友達がいなかったために起こるいくつもの弊害、コミュ力のある人々との壁、それゆえに卑屈になってしまう精神。八幡は悪くない、高二病は誰にだってある。
この八幡と「奉仕部」で関わることになるのが雪乃なのだけれど、読み進めていく内に、彼女も美少女だったが故にいじめにあっていたりする過去がある。シリアスかと思いきや、二人の言い合いの中で暴露されるのでちっともシリアスじゃない。
それこそお互いの傷を抉りあうように。
この八幡と雪乃の掛け合いが、一つ作品の魅力になっていて、お互いの切り返しが面白いし期待してしまう。
また、その他登場人物にしても個性があり、各々のトラウマやら悩みを抱えているのが良いし、何とも痛々しい。材木座などその典型で、雪乃に心の扉を抉られていく様が悲しすぎる。
女の子では結衣が可愛らしい。イケてるグループに入っている結衣だけれど、根は優しく真面目。加えてアホの子なので、読んでいて和む。人に合わせることで自分の意見を言わないでいた結衣が、八幡や雪乃と関わることで変わっていく。
それは八幡や雪乃も同じで、他の登場人物にしてもそうで、クラスメイトや知り合いからランクアップして友達になる。お互いに距離も測らず本音を言い合える友達。上下関係など空気を読んで接するのは、友達と呼べるのか。対比になっていて良い。
面白かった。是非、続きが読みたい。
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- 作者: 渡航,ぽんかん8
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/03/18
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