推定少女 (角川文庫) [感想]
格好良い……?
ある事件から警察に追われている巣籠カナは、その逃亡中にゴミ捨て場に全裸で倒れている少女を発見する。記憶喪失だという少女に白雪という名前をあげて、一緒に逃亡することになるのだが。UFO、宇宙人、誘拐、少年千晴との出会い、電脳戦士。
文章がとても読みやすかった。
頭にスッと入ってくれるので、読んでいて気持ちが良い。主人公たちの感情を見ているかのように描写してくれるので、読み手もそれに合わせて読み解くことが出来る。
話がごちゃごちゃしている一種の複雑さはあるものの、動き方に関しては上であるように感情があり、行動していくので納得しやすい。これが作品の持っている雰囲気と合わさることで更に面白い物語に映る。
主人公のカナは中学生なのだけれど、物語を読みながら読み手も思わず中学生の頃を思い出してしまった。そのころの考え方だったり、社会に対して思っていたであろうことをカナが言うので、それがグサリと心に刺さる。
また、逆に親の考えていること、大人の考えていることも何となく理解出来てしまうのだ。中途半端にどちらにもなりきれていないのだが、これが歳を重ねると分からなくなってしまうものなのだろうか。
むしろ、心に突き刺さっている時点で、どこかで大人面している自分がいたということなのかもしれない。
少女は少年になりきれず、少年は少女にはなりきれない。子どもから大人にもなりきれず、大人は大人になりきれず、大人は子どもではない。作品の描いていることに考えさせられ、それらがどうしようもなく美しかった。
Presented by Minai.
- 作者: 桜庭一樹
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/10/25
- メディア: 文庫
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