アリス・イン・ゴシックランド 霧の都の大海賊 (角川スニーカー文庫) [感想]
謎の少女アリスとは――。
19世紀末ロンドン。世間では通り魔殺人や英国海軍の新造艦が奪取されるなど、奇妙な事件が発生し、その裏には秘密結社まで暗躍していそう。スコットランドヤードの貴族刑事であるジェレミーは、ホームズの妹イグレインと共に不可解な事件を追う。
作中に流れる空気感が好きだ。
現代を思わせつつも、しっかりと過去であるという不思議。今と昔を混ぜ合わせたバランスは見事だった。服装、生活など時代に合わせたものがある中で、明らかに19世紀末ではありえない科学技術が登場したりするのだけれど、くどくない。
時代背景に合致したものを描写しながら、ありえないこともやってみせるのは、エンターテインメントらしさを表現している気がするし、今と昔を上手く合わせることがそもそも英国らしさを出しているのが良い。
序章なのでジェレミーが抱える背景やイグレインとの関係などが見えた段階。謎のアリスはアリスらしくつかみどころが無くふわふわしている。これがどうやってかみ合っていくのか。物語のふり幅は広いので、どのジャンルに振っても面白くなる期待がある。
また、良くも悪くもイギリスで有名な人物やモノが登場することで親しみがわくし、現代で語られている歴史と照らし合わせることで面白みが出てくる。歴史の分野から物語へアプローチしていく読み方をする人は少なからず楽しめるだろう。
面白かった。次も期待しています。
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アリス・イン・ゴシックランド 霧の都の大海賊 (角川スニーカー文庫)
- 作者: 南房 秀久,植田亮
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/04/28
- メディア: 文庫
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