Infinity recollection

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囮物語 (講談社BOX) [感想]

囮物語 (講談社BOX)

 

撫子さん男前。

 

衝撃の一言。可愛らしいという言葉が似合うであろう撫子というキャラクターを気持ちがいいくらいにぶっ壊していった。化物語でのイメージはイメージとして、破壊していく潔さは著者だなと。化物語が表なら、そこから続く物語は裏。

 

捉え方が逆転。

 

引っ込み思案であまりしゃべらなかった撫子の心情が描かれることで、それまで描かれてきた物語の捉え方が変わってしまう。人見知りをしてしまう、人と上手く付き合えないというだけで、撫子だって何も考えていないわけではない。

 

黙ってしまいながらも、考えることは考えているし、相手が考えていることも観察することでそれとなく伝わってくる。自分に向けられる撫子はこういう人だよねという期待の視線と、勝手に期待しておいてそうではないと失望する視線。

 

自分は可愛くなんてない。可愛いだけじゃない。心の中にためてきたものが一気に爆発したような叫びは壮絶だ。撫子には、自分はこういう人間という確固たるものがあるのだろうけれど、周りが期待している撫子は自分のそれではない。

 

無意識に囚われて合わせていたのだろうか。分かっていながらもそうせざるを得なかったのだろうか。中学生らしいといえばらしい。

 

これまでお兄ちゃんが好きだと言っていた撫子の真相を知ることは何気に恐怖。そこまで鈍感でもなく、むしろ勘の良い、空気を読みすぎで登場するアララギさん家の暦くんが撫子の気持ちに気付かないのはそういうことだったのだろうか。

 

面白かった。続きを待とう、カミングスーンらしいから。

 

 Presented by Minai.

囮物語 (講談社BOX)

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