RINGADAWN - 妖精姫と灰色狼 (C★NOVELSファンタジア) [感想]
人間臭いファンタジーという印象を受けた。
世界観といい妖精や灰色狼といった単語といい、十分にファンタジーなのだけれども、主人公が冒険してどうこうだとか、剣と魔法の世界が描かれるわけではない。無骨で血生臭く、登場するキャラクターの感情がリアルらしさをかもし出す。
そこにはファンタジー世界に生きている人間なのに、現実の人間らしさを見た。死体を見て恐怖してしまうところなどはそうかもしれないと思わされたし、不の感情のあり方が身近に感じた。
主人公のレイジにしても、登場からして世界を割り切ったものの考え方をしている。自分の置かれた状況を冷静に分析して、一番己の利となる行動を取る。選択した結果がアレだったわけだ。それは妖精も同じに映った。抗えない運命には無理に逆らわない、どこまでが限界なのか悟っている。
けれど、そこで諦めるのではなくて出来る限りのことをやっているのは好印象でした。出来ないことは出来ないけれど、出来なくなるまでは行けるはずなのだ。
格好いいバトルだとか、美しい恋愛模様だとかは無いけれど、踏み潰されても這い上がってくるような、理不尽には負けない強さを持った人たちを描く物語になっていた。
面白かった。
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RINGADAWN 妖精姫と灰色狼 (C・NOVELSファンタジア)
- 作者: あやめゆう
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/12/19
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