火の国、風の国物語 13 英傑雄途 (富士見ファンタジア文庫) [感想]
「火の国、風の国物語」完結。
ついにアレスとフィリップの戦いに決着がつくことになる。悪くいえば予定調和なのかもしれない。けれど、そこに至るまでに二人が積み上げてきた物語が崩れるわけではなくて。積み上げがあるからこそ感じることがある。
最終決戦にも、アレスにしろフィリップにしろ、出会ってきた人間たちの繋がりが如実に現れていて、お互いに助けられ、仲間と力を合わせることで必死に戦う姿がそこにあった。成長している二人を見れるのが嬉しいですし、ここまで来るとどちらが善い悪いではない。二人の戦いをずっと眺めていたくなる。
最後まで王道を貫いた大聖堂での決闘には鳥肌が立った。
何だろう、アレスが事を成した後に戦友たちと別れていく場面で思わず涙ぐんでしまった。アレスとしては別れを告げるために戦友たちに声をかけるのだが、戦友たちは声をかけられる前から別れることを当然として準備している。
これだけ聞くと薄情なのだけれど、それはアレスと戦友たちの心が繋がっていたということで。後腐れが無いように、清々しく別れようとするものだから、アレスと同様に感慨深いものがあった。読み手は物語を追っていただけだというのに、これまでの戦いが思い起こされて胸が締め付けられた。
アレスという主人公は勿論のこと、脇役に至るまで魅力的なキャラクターしかいなかったので、どこを切り取っても面白い。彼ら彼女らの生き様をもっと見ていたかったし、同時に行き着いた今に満足して肩を叩きたいですし、未来を考えて微笑みもしたい。
読み手は途中参加だったが、最後に追いつけてリアルタイムで最終巻を読めたことに感動している。本当に面白かった。一気に読みたくなる作品であり、もっと多くの人に読んで欲しい作品だ。
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火の国、風の国物語13 英傑雄途 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 師走トオル,光崎瑠衣
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2011/09/17
- メディア: 文庫
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