煉獄姫 五幕 (電撃文庫) [感想]
残酷で綺麗。
物語の構成が本当に美しい。シリーズを通しての伏線が自然と繋がっていく様は、読んでいて気持ちが良いし謎が解明されていくことに心地よい高揚感が得られる。丁寧に作りこんでいるのが伝わってくるので、流石だなと納得してしまう。
ローレンの雛に関して、ユヴィオールの口から語られる内容には鳥肌を覚える。分かりやすい悪役であり黒幕で、全てが彼の手のひらの上であったと思い知らされたときに、その強大さに絶望感が漂ってくる。
また、今回はバトルも激しく見せ場が多かった。アルト、レキュリィ、キリエなどがユヴィオールの手先である幻獣たちと戦うことになるのだけれども、この幻獣の強いこと強いこと。戦う相手は人間ではなくモンスターなので言葉での意思疎通は出来ないが、その代わり傍にはしっかり幻獣を操る人間を配置しているのは上手い。
幻獣たちは繰り出す技を難なく攻略してきますし、効果があるのかも怪しい。ましてや獣のくせにやけに頭がよろしい。逆に一撃をもらったらタダではすまないので、戦闘には緊迫感がありました。サイズ的な圧迫感もあるのだけれど、戦いの中で倒せるのか不安になる変な焦燥感が纏わりついてくるのですよね。
フォグとアルト。
二人の関係も随分と成長した印象。絶対に二人で生き残るという気概が見えるし、アルトがアルトとして戦っている。息を合わせたコンビネーションで戦いを繰り広げているように見えました。フォグに任せるのではなくて、本当に二人で戦っている。
しかしながら、展開は実に絶望感溢れている。続きをどう魅せてくれるのか楽しみです。
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- 作者: 藤原祐,kaya8
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