こわれた人々 (ガガガ文庫) [感想]
第 6 回小学館ライトノベル大賞 優秀賞受賞作
主人公である向井は、人と関わりを持とうとしない高校生。学校では変人、奇人扱いされ、イジメられているわけではないが、クラスからは浮いている。深く関わらない方がいいというのが、クラスの中での共通見解。そんな彼にヒロインの倉橋が救いの手を差し伸べようとするが――実にレーベルらしい作品。
鬱屈とした学生生活に嫌気がさしている主人公は、将来の夢もなくダラダラと過す埋没した日々。それでも主人公には使命があり、それは自分にしか見えない存在のウラビトを狩ること。物語では、所謂一つの中二的思考を持つ向井が、本当に妄想しているだけなのか、はたまた奇怪な現実なのか、倉橋を案内人として突き詰めていく。
序盤はただ単に向井が、特殊な解離性同一性障害の一種かなと類推したけれど、どうにもウラビトの存在がよく分からない。中盤では向井が人と積極的に関わらないということから、相手の心理をウラビトとして向井が投影している、それと戦うことで精神での葛藤やらコミュニケーションを表現しているのかなと――そして終盤なるほど、そう来たか。
しかし、これには物足りなさも感じました。
というのも、更に上をいく奇抜なものを期待してたというのもあるけれど、終わり方が綺麗にまとまっている様に見えて、ウラビトの存在を全面に出しすぎてバランスが悪いというのか。あれ、ここで終りなのか、と変なところで気が抜ける。
倉橋の勉強していた心理学やらにも期待してしまったからかしら。
Presented by Minai.

- 作者: 高岡杉成,モフ
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/05/18
- メディア: 文庫
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