Infinity recollection

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空色パンデミック4 (ファミ通文庫) [感想]

空色パンデミック4 (ファミ通文庫)

 

完結編。

 

短編集を挿んで新展開があるのかと思いきや、まさかの完結編。物語を読むうちに確かに終わりに近付いていく雰囲気はあるのだけれど、それでも作品の持ち味である空想か現実かの曖昧さは健在。

 

仲西景という存在を通して、またはその周りにいるキャラクターの視点から彼が描かれていく。バレンタインでの出来事、青井の可愛らしさ、結衣の存在、ピエロの存在。

 

物語はいつも通りに始まっていながら、どこかおかしい。仲西景が曖昧で、世界が曖昧で、全てが曖昧に映る不安定さ。文章と物語を走るノイズに疑問を感じつつ読み続けることになるのだが。

 

現空混在症。

 

空想病に関わり続けてきた仲西景が、空想病に感染経験がある人が稀に発症してしまう現空混在症を発症していることが判明することで、核心へと向っていく。

 

空想が現実である、現実は空想だ、殻に閉じこもる景の代わりに、もう一つの人格が表の人格として現実での生活をし始めるが、当の本人はそのことに気付かない。主人格である景は徐々に現実での記憶が曖昧になり、空想か現実かの区別がつかなくなり始める。

 

表の世界と裏の世界が描かれるが、読んでいても本当にそうなのか。そこに書かれていることは信じて良いのか疑心暗鬼に吸い込まれていく展開は流石。

 

クーソーとのやり取りでは、考えさせられる部分があり、景が舞台で振り返る場面は熱かった。この事態をどうやって収拾させたのか、最後まで読んでもらいたい。

 

面白かった。このシリーズを読んで本当に良かった。

 

 Presented by Minai.

空色パンデミック4 (ファミ通文庫)

空色パンデミック4 (ファミ通文庫)