サクラダリセット3 MEMORY in CHILDREN (角川スニーカー文庫) [感想]
「私たちの中に、アンドロイドがいると仮定しましょう」
浅井ケイと春埼美空、そして二年前に死んでしまった相麻菫。三人の関係は中学の屋上から始まった。記憶保持、リセット、未来視、全ての始まりを描く――。
高校生になったケイと春埼が昔を思い出すという形で進むのだが、今までの物語が存在した意味がこの三巻で語られていた。
相麻菫はそうなることを視ていたのだろうけれど、相麻菫の未来視は一体どこまで視れるのだろう。例えば彼女が死んだ後まで確実に視れるのだろうか。
あくまで生き返る前提だから視れたのだろうか。未来が全て視えてしまうというのも、それはそれで切ない。
相麻菫は何の為に死んだりしたのか。
ケイは最初から春埼のことを大切に思っていて、相麻菫にはそれが視えていた。ケイと春埼を引き合わせたのは相麻菫だけれど、本当は相麻菫がケイと仲良くなりたかったのではないだろうか。
しかし、未来は視ているわけなので、それが無いことも分かっている。だから、死んでみたということなのだろうか。自分がいなくなることでケイの関心を惹きたかったということだろうか。
だとしたら悲劇で悲恋だし、それでケイがどうなるのかも相麻菫には視えていたのかな。もしくは、そもそも目的がケイではなく春埼で、彼女に感情というものを思い出させる為に一連のことを計画したし、自分も死んでみせたということなのだろうか。複雑です。
浅井ケイが相麻菫を取り戻す物語だったというのは変わらなくて、読み終わってみても彼女が何故死んだのかは分からないわけだけれど、想像するのは楽しいし、次がどうなるのは非常に気になる。
中学生の春樹は高校生の彼女よりもシンプルなロジックで行動していたけれど、そのルールが変わっていく過程は楽しめた。透明すぎるほどに透明な彼女が少しは理解できた。
文章も読みやすく綺麗。面白かった。
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サクラダリセット 3 MEMORY in CHILDREN (角川スニーカー文庫)
- 作者: 河野裕
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2012/10/01
- メディア: Kindle版
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