くずばこに箒星 (集英社スーパーダッシュ文庫) [感想]
第10回スーパーダッシュ小説新人賞 大賞受賞作
グレードチェア制度という一風変わった序列システムが導入されている高校、了星学園。中でも、学園上位6位まではチェア・オブ・シックスと呼ばれる特別な存在で、主人公の福山英知は2ndチェアの位置にいた。日々、1stチェアを目指す英知だったが、学園の屑?が揃うおそうじ部への潜入調査を切欠として、英知の転落生活が待っていた。
……うーん、微妙。結局、何をやりたかったのか伝わってこなかったというか、詰め込みすぎていてどこを見れば正しいのか迷ってしまった。スクールカースト、ラブコメ、青春、ハートフルな家族もの、頭脳バトル、序列システムを使った争い。迷っている内に、話の方はあっさりと終わってしまう。
手に取れば分かるが、それなりに分厚いのでどのジャンルにも振れるような伏線が数多くある。けれど、一つ一つを見ていくとそれが本当に必要だったのかはわからない。頁数を読んだ割りに、読んだ手応えは感じられなかった。
また、登場人物が不安定に映りました。これも詰め込みすぎの影響が出ているとは思うのだけれど、その場で展開にあった説明やら対応をキャラクターがしてしまうので、どれが本当のキャラクターなのか判然としないし、折角の個性がとってつけたように映って説得力がない。
顕著なのは主人公の完全記憶能力。中盤以降で明らかになるけれど、本当にそこで開示するべきだったのか、そもそも能力として持っているべきだったのかは疑問。
最後は綺麗にまとまったように終わっているのだけれど、地に足着いていないふわふわとした違和感が残ってしまいました。
個人的にだけれど、グレードチェア制度をもっと使ってほしかったですし、青春ハートフル系を期待していたので、予想外にミックスジュース過ぎた。大賞だけに期待をかけすぎたのかもしれません。
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くずばこに箒星 (くずばこに箒星シリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
- 作者: 石原宙,月神るな
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/10/25
- メディア: 文庫
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