Infinity recollection

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明日から俺らがやってきた (電撃文庫) [感想]

明日から俺らがやってきた (電撃文庫)

 

 

第18回電撃小説大賞 電撃文庫MAGAZINE賞作

 

凄く分かりやすくて好きです。

 

未来からやってきた二人の自分は、大学に入った後の人生について後悔しており、互いに過去の自分の選択は誤りだったと主張する。方や推薦で大学を決めた自分、方や受験で大学を決めた自分。果たしてどちらの未来を選ぶべきなのか。

 

未来と向き合って、自分と向き合え。

 

最初にも書いたとおり分かりやすい。登場人物の配置や、先が予想できてしまう展開など、荒削りな部分はあるのだけれど、大学受験という人生の中でも重大な転換点について真面目にぶつかっていく姿は青春そのもの。

 

未来から来た「推薦」や「受験」が何を言おうが、それは参考になるアドバイスでしかない。どう未来を進むのか決断したのは自分ですし、それを決めたら諦めないでとことん努力する主人公の姿は良かった。本気になれるとはどういうことなのか考えさせてくれる。

 

そういう意味でも作品としては分かりやすい印象を受けました。未来からやって来たというSF要素が本質ではないので、そこを期待しているのなら肩透かしを食らうのだろうけれども、本作の持ち味は青春であり受験であり、恋だ。

 

クラスで馴染めないでいた高瀬涼を、クラスに溶け込めるように手助けしていくうちに、彼女のことが好きなのだと気付いた主人公。誰かと一緒の大学に行きたい、不純にも思えるかもしれないが、目標には違いない。目標がないままただ受験するよりずっといいように思えるし、決断して努力しようとしている主人公は本物だった。

 

作中で台詞として語られることは、何気なく聞こえるかもしれないけれど、まさにその通り。将来のことについて考えるのは正直しんどい作業だけれど、逃げてるだけでは何も変わらない。これを切欠に、真面目に考えてみるのもいいのではないかしら。

 

面白かった。是非、受験に挑む前の学生たちに読んでもらいたい。未来は自分の行動しだいで変えていける。

 

 Presented by Minai.

明日から俺らがやってきた (電撃文庫)

明日から俺らがやってきた (電撃文庫)