Infinity recollection

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ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫) [感想]

ココロコネクト7 ユメランダム (ファミ通文庫)

 

太一が成長する一歩踏み出す物語でした。

 

とにかく皆の為にと頑張ってしまう太一は、自己犠牲も厭わないところから変わったはずだった。事実、変わっていたのだろうが、他人の夢が見えてしまう夢中透視のせいで、太一が狂い始める。

 

本人は至って真面目で、夢中透視で見えてくる他人が望んでいることを実現させてあげようと行動する。誰かを助けることは良いことのはずで、正義だ。――けれど、稲葉の意見は違う。何もしない、無視することこそが正解で、望みを叶えることを助けてはいけないと主張する。

 

分裂していく絆が痛々しい。

 

誰にでも好かれるように無意識下で行動していく太一の姿は気持ちが悪かった。それを行って何がしたいのかが読んでいても分からないし、目の前にあることをただ処理しているだけに映る。作中で登場人物たちが太一にかける言葉が痛烈だ。

 

千尋の気持ち悪いもそうだし、俺のことを怒らないのは何故かと問われて、それは終わった話だと割り切れる太一に今更ながら寒気を覚える。優しいも度を過ぎると無関心になってしまうのではないか。誰にも興味がないので、何をやられても何も思わない。太一が逸脱しているのは、それでも誰かのためになら行動できること。本当に怖いし、人間らしくないから気持ち悪い。

 

物語では、太一が問題に気付き、そこから彼の選択と成長を描いていく。目的がない、意思がない、流されていただけの太一が、改めて自分で考えて決断する。

 

中盤からの胸がムカムカする展開は、暗いにもほどがあるけれども、そこを抜ければ拍手したくなる嬉しい展開が待っている。何せ途中は対立する太一と稲葉に気が気ではなかったので、やっと心臓が和らいだ。改めて表紙のイラストを見ると、今回の物語を如実に表現していますね。

 

面白かった。

 

 Presented by Minai.

ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)

ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)