Infinity recollection

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クロス×レガリア 嵐の王、来たる (角川スニーカー文庫) [感想]

クロス×レガリア  嵐の王、来たる (角川スニーカー文庫)

 

白鳳六家。

 

馳郎が白翁を受け継ぐに当たって、それまで歴代の白翁を輩出してきた白鳳六家への顔見せを行うわけなのだけれど、全ての家が外様である馳郎を良く思っていないので、これをどうやって認めさせていくのか考えるのが楽しいですし、六家の中でも権力争いがあるようで、その構造が面白いのです。

 

物語は六家編へ。

 

この顔見せで喧嘩をふっかけてくるのが、空(うつほ)家の次代当主、北斗。風を自在に操ることで、風刃を武器とする戦闘スタイルは少年の心を熱くさせる要素が存分につまっている。ましてや、北斗が本当の敵ではないのだから更に熱い。展開を起こしては逆転させてくるので、読んでいて退屈しないのだ。

 

隼人などはその例で、敵だと思っていた北斗ですら恐怖する隼人の力。冷静に眺めてしまうと空家の内乱にも映ってしまうけれど、北斗と隼人の関係性は、馳郎とリコとを比べたときに歪さが浮き彫りとなる。兄弟としてはあまりにも悲しい繋がりだからなのか、北斗が淡々と謝り続ける台詞では、全てが詰まっているように受け取れて目頭が熱くなった。

 

鬼仙編よりは六家編の方がワクワクが強くて好きかもしれません。今回は空家が中心でしたが、これから他の家の人間たちもちょっかいを出してくると思うので、他五家がどのような能力なのか気になります。加えて、全ての家を倒す形になったときに、また違う展開が想像できる。先の先が見えそうで見えない、ワクワクします。

 

ラブコメも加速。

 

ナタとの距離が一気に縮まっているのが読んでいても分かるので、ちょっとしたことで固まってしまう二人が初々しい。風呂上りの姿に目を逸らす馳郎だとか、馳郎にどこまでも一緒に行く宣言をした後のナタの仕草。読んでいて読み手が恥ずかしくなる。ナタ可愛いです。

 

文章は読みやすく、吸い込まれるように違和感なく頭に入ってくるのは流石。引き具合も絶妙ですし、全体を通しても展開に無駄がない。ここからどこにでも発展していけるような物語の構造は素晴らしいです。

 

面白かった。

 

 Presented by Minai.