Infinity recollection

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アカイロ/ロマンス〈5〉枯れて舞え、小夜の椿 (電撃文庫) [感想]

アカイロ/ロマンス5 枯れて舞え、小夜の椿 (電撃文庫)

 

 全てがつながり、謎が明らかになる。

 

 景介が鈴鹿の一族の争いに巻き込まれて始まった物語。今までに積み重なってきた伏線を回収しつつ、あれよあれよという間に怒涛の勢いで物語が展開された。

 

 デートで良い雰囲気、明るい部分を読ませて、突き落とす。

 枯葉と景介の関係もそうだけれど、物語が破壊された。

 

 読んでいて危機感が足らなかったというか、あまりにも唐突に起こる出来事にただ驚き、それでも納得できてしまう上手さに感心した。考えてみれば当たり前というか、そうなっておかしくなかったわけで、ならなかったのが不自然だったのだ。

 

 形勢逆転どころか、まさに全てを失いそう。

 

 「つうれん」を失ったことから起こる一連の狂気。その「つうれん」の真実というか用途が明らかになるのが意外だったというか、上手かったし、その厄介さ怖さを感じた。

 

 そして何より、近くにいて気付けなかったこと、枯葉に恋したはずの初恋、その二つが景介に衝撃として襲い掛かるわけで。読んでいる側も何てことだと思ったが、景介も立ち上がれないダメージを負って混乱する。

 

 景介は今まで一歩引いた位置にいたはずなのに、実は一番の軸で最前線だったことに気付く。景介も考えているように、読み手もこれまでの彼の言動が思い起こされて、衝撃を受けた。凄い。

 

 この絶望溢れる場で、救いとなるのが依紗子というのも皮肉なもので。

 

 依紗子の画策というか、一途過ぎるその愛にはやられた。序盤がどこに向うのかと考えていたら、ここにきた。これで最終巻の前だというのだから、十二分にその役目を果たしている。

 

 そして枯葉の置かれた状況にも危ういものがある。景介がどのような選択をするのか、そも選択することができるのか。

 

 次がとても気になる。面白かった。

 

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