ミニッツ 一分間の絶対時間 (電撃文庫) [感想]
第18回電撃小説大賞 選考委員奨励賞受賞作
うーん、期待していたものと違う。
おそらく、何も考えずに読めば作品として、そういうものなのだと受け入れられただろう。ただ、前情報として知略バトル、心理戦、ゲーム、などの単語からそれらを過剰に期待してしまった。人間と人間が黒さを出しながら、仕草、表情、言動そのものから粗を探して相手の裏をつく、そこにゲームが絡んでくる。
読む前から、こういう作品なのだと頭で作りすぎていたので、読んだときの違和感が拭いきれなかった。
確かに「馬鹿と天才ゲーム」を中心に知略バトルらしきものはやっているのだけれど、”らしきもの”に収まっている。どの辺りが知略ゲームになっているのか良く分からないし、そもそもゲームなのかと言いたい。あくまでそこはメインじゃないのだろう。学園青春ストーリーが話のメインなのだろうと思う。
そういう意味で読めば、お悩み解決できるミニッツ能力は方向性として間違っていない。そこを無理やり知略ゲームに落とし込もうとするから違和感が生じる。知略ゲーム系作品としてみたら、ミニッツ能力は話を相手の心理を読むだとか、騙させるだとかの過程を省いてしまうのでまったく面白みを削っているようにしか見えない。最初から青春系の話に行くなら、最初からその方向で話を作れば良いのに、と感じた。
だから残念、というのが正直なところ。
また、無駄な文章が多い印象も受けた。説明が長かったり、主人公の独白っぽいものにも表現として棘を感じたり、必要か疑問に思う描写が多かった。なるほど、奨励賞だなと変に納得しました。
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- 作者: 乙野四方字,ゆーげん
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2012/04/10
- メディア: 文庫
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